真夏の鬼ごっこ






「ねえ、ちゃん」

もぐもぐとクレープを頬張る相手を見つつ、今日も今日とてレイヴンはその問いを口にしてみた。

ちゃんはいつも何処からきて、どうやって入ってきてるのかしら?せんせー、知りたいなー」

「・・・・教えてあげないよ、ジャン」

もぐもぐごっくんと最後の一口を口に放り込んで飲み込んでから、問われた相手は無表情のまま、何だかちょっと古いネタで返してきた。
ま、おっさんはそのネタ、知ってるけどね。
あまりここいらでは見かけない翠碧色の瞳を瞬きさせながら、と呼ばれた相手は静かに立ち上がって、おもむろにうーんと背伸びをした。

「・・・・じゃ」

ご馳走様でしたーと律儀に挨拶をして、は窓の方へとスタスタと歩いていく。
ガラッと開ければ、目の前にはうっそうと茂った校舎裏の木々が窓際まで太い枝を伸ばしていた。

「え・・・」

校舎内からこの教室までの侵入経路は分かった。
分かったが・・・。

「ちょっと、その恰好でいくの?!ちゃんっ」

この学校では見慣れた制服(女子用)であるチェックのスカートをひらりと風に遊ばせて、は片足をガッと上げて窓枠に乗せた。

「心配はご無用」

下はちゃんと履いてるから、という言葉を最後にの姿が木々の間にひらりと消えて行った。
急いで窓枠から身を乗り出せど、この時期青々と茂る葉っぱが邪魔をしてその姿はもうどこにも見えない。

「あーらら・・バレちゃってたみたいよ・・・・、セーネン」

「・・・おっさんの挙動がところどころ不自然だったのが敗因だろ」

教室の扉をガラッと開けて、黒髪を後頭部で結わき上げた一人の学生が仏頂面で窓の方を見遣った。

「おっさん、本当に知りたいって気あんのかよ」

「こら、ちゃんと先生って呼びなさいよ」

「へーへー・・ったくこれで今日もお預けかよ」

実は俺に作る気なんて無いんじゃねえの、と入ってきて椅子にどっかりと座った学生は、むっすりと頬杖をついた。

「むー・・いつもは教室の扉から堂々と出ていくから、いけると思ったのに、まさか窓から入ってきてたなんて思わなかったわ」

「ってか、あれうちの制服じゃねーの?」

「そーうなんだけどねー・・」

はここの制服を着ていたが、この学校の生徒では無い。
どういうわけか持っているそれを着て、堂々と校舎を歩いてこの物理準備室に忍び込んでくる。
そして、レイヴンが作ったクレープを食べていくのだ。

「制服ってだけで他校の生徒だろうが何だろうが、堂々と入って来られちまうなんてセキュリティどうなってんだよ」

そう思うのも無理はないが、やはり制服というものはそれだけで通行証になってしまうものだ。
レイヴンも最初は、がこの学校の生徒だとうっかり信じていた。
だが、名乗った名前が名簿に見当たらない。
偽名かとも思ったが、それから数日観察していてやっと気が付いた。
・・そもそもあんな色の瞳の生徒は、この学校にもともと在籍していなかったのだ。

「じゃー次はセーネンも木を伝って追いかけるように」

若さを武器に頑張ってね!とウィンクしながら右手の親指をぐっと掲げれば、ふざけんなの声と共にブーツが片方飛んできて額にヒットした。













「あー・・ったく、今日も食えなかった・・」

だいたい、教師が例え自分のテリトリーとはいえ、放課後に自炊ならぬつまみを作りながらくつろいでるってどういうことだよ。
とはいえ、つまみは置いておいても、その教師が作るクレープは絶品なのだとエステルに聞いてから是非一度食べてみたいと思っているだけに、あり付けなかった悔しさはひとしおだ。

「条件なんて付けずに、サクッともう一枚作ってくれりゃ良いのに」

あのってやつには材料をバッチリ用意して作ってやるのに、とちらつく相手の姿にイライラする。
今日初めて見かけたその容姿は、確かにこの校舎内では見たことが無い。
だというのに、エステルが着ているものと同じデザインの制服を着ていた。
あの喰えない教師も調べたらしくて、どうやらどこか別の学校の生徒だということなのだが。

「・・・そんなん自分でどうにか調べろよ」

見知らぬ他校の侵入者の素性、取りあえずは何処の学校の生徒なのかが知りたいから、協力してくれたら何処の生徒か分かった時点でお望みのものを作ってくれる、というのが取引内容だ。
何枚でも!という言葉についつられてしまったのが、運のツキ。
今のユーリは、さながら目の前にぶら下げられたニンジンを食べられずに走らされている馬のようだった。
当然、腹が減る。

「・・・尾行(つけ)るか」

欲しいものをちらつかされて、でも手に入れられない、食べられないというストレスがユーリの目を若干据わらせていた。
今ここにスイーツ男子高校生の、食べ物の恨みパワーが発揮されようとしていた。













「・・・来ねぇ・・」

「もー、ユーリくん何かした?ちゃんがもう来なくなっちゃったら作ってあげないよ」

「・・何もしてねえっての」

まだ、という言葉は心の中で付け足しておく。
毎週水曜に現れてはクレープをただ食べていくはずのが、水曜日の今日、現れなかった。
心底残念そうな様子でクレープの材料を片付けていくレイヴンの動きを、ユーリはじっと目で追う。

が来ねえんなら、その材料で俺の分を作ってくれよ」

「それじゃ意味がないでしょ、却下」

「ケチ」

「何とでも」

てか、やっぱりこいつのこの胡散臭い成りと放課後の自由三昧を他の教師にチクるぞって脅してやればいいんじゃねーの、とそこまで考えていやいやとユーリは首を振った。

「・・・それじゃ意味がねえ」

クレープ食べられずに終わるだけだ、と項垂れる。
外から早起きのセミがジワジワと鳴き始めるのが聞こえてくる。
暑さで少し参っているのかもしれない。
それまで下していた髪をまとめて、ゴムで結わこうと少し顔を上げた。

「・・・?」

その視界、開けた窓の向こうで何かがちらと動いた、気がした。
ガタンと椅子を蹴倒す勢いで立ち上がる。

「?!ちょ、ちょっと青年!学校の備品は大切に!!」

おっさんびっくりしたじゃない、という相手を押しのけて窓枠に駆け寄る。
木々の間に、何か白いものが見えた気がしたのだ。
白い・・あれは、靴下?

「ちっ・・今日こそは絶対捕まえる!!」

ユーリはそのまま、窓枠を掴んで飛び降りた。
レイヴンが焦ったように窓辺に近寄って下を見下ろせば、無事に着地した男子学生が一人、不敵な笑みと共に猛ダッシュをかけたところが見えた。

「・・・若いっていいわね」

でも、ここ、二階だから、おっさんちょっとドキドキしちゃった、と胸元をそっと抑える。
それにしてもちらと最後に見えた青年の顔が、どうにも獲物を前にした狩猟者の顔のようで。

「大丈夫かしら」

どっちが、とは言わずもがなである。
レイヴンはに、心の中でちょっと謝った。
自分が知りたいなんて言ったばかりに、か弱いうさぎに狼をけしかけてしまったような気がする。
そこまで考えてから、最近初めて見た窓から出入りするの姿を思い出す。
うさぎって、意外とたくましいのね。

「出来心でごめんね。・・でも意外と大丈夫・・かも?」

いやー・・ちょっとこれ楽しいかもしれない。
組んだ腕に肘をのせて、顎をさすりながらレイヴンは窓の外の若者たちにエールを送った。













結構前に公園でクレープ食べただろ?

・・・覚えてない。

・・・2つも食ってたじゃねーか。

兄さんは3つも食べてたよね。

うるせい!

”あのクレープ屋のおっちゃんが、他校の教師だっていう噂があって、だな・・・”

「聞いてるかー、ー」

ホームルーム終了の鐘が鳴る。
今日も今日とていそいそと帰り支度、という名の使った教材を机に詰め込む作業をしていれば、細眼鏡のクラス担当教師に声をかけられる。
何事かと黒板の前に立つヒューズ先生に視線を移せば、その顔の横にチョークで力強く書かれた白い二文字。

「補・修」

「そーだ。お前もメンバーに入ってるからな!」

帰るなよ!と黒い出席簿をピッと上げて宣言される。
何だ、そのスポーツの選手発表みたいな、はたまた飲み会に無理やり誘われちゃったかのようなノリは。
そんなメンバー入りはしたくは無いなと思っていれば、そんな気持ちが表情にダダ漏れていたらしい。
苦笑してヒューズ先生が続ける。

「お前なー、ぼーっとし過ぎだってマスタングも言ってたぞ」

「マスタング先生の授業は眠気を誘うんで」

それで補修になってんじゃしょーがねーだろと笑いながら、帰るなよと再度念押しをして出席簿をヒラヒラさせながらヒューズ先生は教室を出て行った。

「・・・クレープ・・」

補修受けたらさすがに間に合わないかなと、少し雲が出てき始めた夏の青空を見上げた。













何だ、あいつ・・

ただクレープを食べに来たのに、何か目が据わってる男子に全力で追いかけられている。
いや、まあ知人を通して制服を入手して不法侵入しているからには、いつか追い出される覚悟はあったのだが。

・・・あんなヤバそうなのに追いかけられる予定では無かった・・。

校舎内をちょろっと歩きまわった時にも見かけなかったし、見かけたら一発で記憶に残るだろう。
学校柄か、他の生徒は着るならそれなりにきちんと着ているブレザーの袖をシャツごとまくり上げて、むしろシャツの襟もとが肌蹴すぎている。

・・そんなに暑いなら、いっそ脱ぎゃいいのに。

もらったブレザーの質はさすが私立、悪くない生地で着心地も良いが、季節は夏だ。
だってさすがにブレザーは暑くなってきたので、今は同じくもらった学園指定の薄オレンジ色の薄手のカーディガンをシャツの上に羽織っているくらいだ。
とにかく服装は不良一歩程度に崩しまくり、靴はまさかのブーツ。
暑いだろ、それ蒸れるんじゃないかといいたいくらい、ゴツゴツしたブーツ。
その足音が付かず離れず追ってくる。
ゴッツゴッツうるさい上に、その鬼気迫った雰囲気が非情に怖い。
何かした、覚えはもちろん無い。
学園に対しては不法侵入だが・・・彼自身には、特に何も、だ。

「おい待てコラッ!」

「・・・・・」

待てと言われて待つやつは、やっぱりいないだろうなと学園裏手の林を抜け出て、人気の少ない裏門へ。
その視界にふらっと金髪頭が入ってくる。
知人のそれより少し淡い感じの、それでも太陽の光にキラキラとやけに眩しい・・・。

「ナイスタイミング!フレンッ!!」

ん?と目の前の少し先を通り過ぎようとした金髪頭がこちらを向く。
正確には、背後でこちらを追いかけつつ大声を上げた男子の方を振り返ったのだろう。
眼鏡の奥の夏の青空みたいな綺麗な青い瞳と、バッチリ目が合う。
驚いたように瞬きするのと同時に、背後からまた、声。

「そいつ、不法侵入してやがんだっ」

「な・・んだと・・?」

よく見れば、目の前の相手は腕章をつけている。
どの学校でもそういうものを付けている相手は規則に厳しい、風紀委員とか生徒会とかそういった類に所属していることが多い。
面倒な相手に見つかったなーと思いつつ、一瞬戸惑って動きが鈍くなった相手の横をギリギリですり抜ける。

「バカヤロウ!何逃がしてんだよ!!・・っチ」

「って、急に言われたって仕方が無いだろう!!」

いやぁ、仲良きことは良きことかな。
怒りの矛先が他人にずれている合間に、裏門を無事に抜けて住宅街まで走れば、さすがにもう足音はついてこなかった。
久しぶりの全力疾走に心臓がバックバクいっている。
短距離派だから瞬発力はあるとよく言われるが、持久力が無いのでこのロングランはきつい。

「あー・・結局食べ損ねた・・クレープ・・」

前回も何かいるような気はしていたのだが、急に物理準備室に増えたあれは、なんだ。
セキュリティ強化しやがってセ●ムかア●ソックか、と荒い息を整えつつ空を仰いだ。













「で、いったいさっきのは何だったんだい。ちゃんと説明してくれ」

「・・・俺のクレープ・・・」

放課後の教室でぐったりと机につっぷす黒い頭を見て、フレンは溜息を吐いた。
生徒会長として放課後の見回りをしていたら、裏門で遭遇した謎の追走劇。
片方が顔見知りにも程がある幼馴染でもあったから、こうして放課後残って話を聞いていたのだが。

「ユーリ。聞いているのか?」

「・・・聞いてる」

はあと溜息を吐いて、今度は頬杖をついて完全にふてくされた顔をしている。
このままではらちが明かない。
明日また詳しく聞き出すことにしてもう帰ろうかな、と夕日に包まれ始めた教室の中を見渡していれば、教室の扉がガラリと開いた。

「ごめんねー、フレンちゃん。ちょっとユーリに頼みごとしただけなのに、大事になっちゃったみたいで」

白衣のポケットに手をつっこんで、苦笑いしながら入ってきたのは物理の先生だった。

「レイヴン先生も、何か知ってるんですか?」

「いやー・・まぁ知ってるといえば知ってるし?知らないっちゃぁ知らないんだけどー」

ぼさっとした頭をかいて、ふてくされたユーリの方を見てハハッとから笑いしている。
・・・胡散臭い。

「知っているなら教えてください。ユーリが、彼女は不法侵入者だと言っていたんですが」

それ以上は何も言おうとしない親友の後ろ頭をチラと見遣る。

「でも、僕の見たところ彼女はここの制服を着ていましたよ」

顎をさすって、さてどう説明しようかとレイヴンが迷っていると、おもむろにユーリが立ち上がった。
無言のまま教室を出て行こうとする。

「おい、待つんだユーリ」

「次見かけたら、先生より先に俺に報告、よろしくな」

じゃ、と言うだけ言って手をヒラヒラと振って出て行ってしまった。
廊下に響くブーツの足音が遠ざかっていく。

「ユーリっ!・・良いんですか、先生!」

困ったように米神を指で撫でていたレイヴンに、フレンが焦ったよう声をかける。
その声が少し怒っているのは、その性格ゆえだろう。
真面目だからねぇ・・と、熱くなる若者をまあまあと宥める。

「不法侵入ったって、何か悪さしてるわけじゃ無さそうじゃない。ちょっと様子見たいから、他の先生にはちょこーっと内緒にしてくれないかな?」

先生に預けてくれないかな、と拝むしぐさをすれば、必殺先生からの頼みごと、に弱い生徒会長はぐっと言葉に詰まった。
知らず握りしめていた拳を落として、視線を床に落とす。

「あ、あら」

急に項垂れた様子の相手に、真面目な青年に無理なお願いをして困らせちゃったかしらと慌てれば、その金髪の頭が急にあげられて危うく頭突きをくらいそうになった。
危ない。

「レイヴン先生っ」

「は、はいー・・・?」

若干のけぞりつつ返事をすれば、色々な理由でこの学園名物な生徒会長はぐっと固めた拳を胸元に掲げて宣言した。

「分かりました。僕が必ず捕まえて、責任を持って先生のもとに連れてきます」

それで良いんですよねと鼻息荒く言われて、レイヴンはどうどうと両手の平を相手に向けながら明後日の方を向いて、こくこくと頷き返すしかなかった。
若いって、熱いわねー・・・おっさん、もう着いていけないわーと思いながら、また心の中で小さく謝罪する。
ごめんね、ちゃん、鬼を増やしちゃった。













「・・っくしゅ」

「大丈夫?

「うん。何か急に鼻がむずむずしただけだから・・」

前を歩いていた金髪の頭がくるっと振り向く。
三つ編みを揺らしながら意地悪そうに笑う相手に、は相手の言おうとしている言葉を容易に予想できた。

「夏風邪は、バカがひくんだってな!」

「・・言うと思った」

「・・でも、この前補修行かなかったんだって?」

前を歩く兄に聞かれないようにか、こっそりと声を潜めてアルフォンスが聞いてきたが、残念ながら彼の兄の耳は地獄耳だった。

「だっせーな!、補修なんてしたのかよ」

快活に笑う兄エドワードと、困ったようにそんな兄を諌める弟のアルフォンス。
彼ら兄弟は、の通う学校に飛び級で入学出来たほど頭がいい。
本来の年の差を考えれば、もっと下の学年にいるはずの彼らとが一つ違いの学年にいる理由はそれである。

「・・・ヒューズ先生め・・」

一つ下の学年の、彼らのクラス担任はホークアイ先生だ。
あのクールな女性教師がそんなことを話題にするはずもない。
ならば情報源は、この飛び級なんてした有名人兄弟と実に仲が良い、自分のクラス担任だろう。
二言目には「我が家の愛しいマイエンジェル」の話をしようとするおしゃべり教師、マース・ヒューズ。

「えっとね、ヒューズ先生じゃないんだけど・・」

犯人は担任に違いないと呪詛のようにその名を呟けば、困ったように笑いながらアルフォンスが説明してくれた。
曰く、補修をすっぽかしたの名前を大声で呼びながら、補修担当の教師だったマスタング先生が廊下を走って行ったそうで。

「マスタング先生も、本当碌なことしない・・」

ヒューズ先生と同期でしかも腐れ縁な国語教師、ロイ・マスタング。
同僚のホークアイ先生に付きまとい、他にも女性の噂が付きまとい、果ては女子高生となんとやらというヤバい噂まで聞く、碌でもない教師だ。
そのくせ授業は少しおざなりで、古文の説明を棒読みでされた日には、寝る以外に何をしろというのか。
それで寝た結果がテストで赤点とって補修の自分も、何してるんだという状況ではあるが。

「本当に大丈夫なの?」

「大丈夫。レポート提出で良いってことになった」

心底心配そうにきいてくれるアルフォンスに大丈夫だと頷けば、横に並んだエドワードがにししっと笑う。

「・・・何、エド」

「レポート提出忘れたら、は俺らと同学年だな!」

「・・・・・」

さすがにそこまでバカではない。

「てかその調子だと俺らの方が先に卒業しちゃうかもなー」

「兄さんっ」

「・・・それより、弟と同学年ってことは頭の出来もアルの方が・・・」

ブチッと何かが切れたような音がする。
くるりとこちらを振り向く顔が少し不穏だ。
”弟と同学年”ではなく、”頭の出来も”のその「も」に見事引っかかった兄は、弟にすでに背の高さで負けている。
怒りの笑顔で見上げてくる相手に、無表情のままはおもむろに両手を自分の耳に被せた。

「だぁれぇがぁ、弟にも見下されるほどの豆粒ドちびくぁあああっっ!!!!」

「兄さんっ、ここ住宅街!!」

「・・・・・」

どこかで、エドワードの声につられた犬が次々と遠吠えをはじめて、夕日が沈んだ暗い水色の夏の夕空にこだましていった。










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