栗鼠審神者



俺の主は可愛い。
いや、可愛いなんて言う言葉じゃ足りないな。愛くるしいだ。
愛しくて愛しくて、苦しい気持ちにもなるし…狂おしい気持ちにもなる。


そんな主は寒くなると部屋を巣ごもり状態にしてしまうので、朝起こすのが大変だ。
大変ではあるが、そこもまたどうにも可愛らしくて困る。
短刀なんかはどこにいるか探すことで偵察の練習にもなるというが、それより俺としては巣の中でいつの間にやら持って行っていた俺の内番着の襷揚げに使う紺の紐やら、羽織やらの間に埋もれたり絡まって…いや包まっている主を見つけたときの衝撃と言ったらない。
胸を撃ち抜かれるというのはこういうことを言うんだなと実感し、真っ先に報告しに行った光坊から「え、何で急に赤疲労になってるの!?」と驚かれたりしたこともあったなあ。
大丈夫、俺は重症だ。
そんなこんなだから冬に主を朝起こす役目は取り合いになっているわけで、このままだといずれ血を見るんじゃないかとか、立候補者をを集めて順番を決めるべきだとかの意見が出ていて主も頭を悩ませているのだがその様子もとんでもなくかわいい。
目を隠すように前足をあててうずくまってひげを震わせているので、気づかれないうちにそっと抱えて棚の上に移動させてそのままずっと眺めていたいし、実際なんどかやってみた。あれは癖になる。
まあ実際に順番を決めるにしたって立候補者いこーる全刀剣となるわけだし、そんなことになったら刀剣の数が爆発的に増えてる今、順番が回ってこない間に寒い季節が終わってしまうだろうが、ちなみに俺は絶対に譲らない。


主が仕事をしている姿もこれまた最高に可愛い。長谷部なんて見ていないふりして終始桜が舞っているのでバレバレだ。
俺ももちろん舞っている。
だってなあ、あの小さい手足で器用に駆け回ってはちまちま文字を押しているんだぞ。可愛くないわけがないだろう!
おっと危ない、鼻血を出すところだった。ちなみにたまに長谷部も鼻血を出している。鼻血を垂らすなんていう可愛くない姿を気合で回避してるという加州に、今度その秘訣を聞きに行くべきだな。



「主、八つ時だ」

歌仙が用意した茶請けを文机に近付けば、早速タタタッと可愛い足音と共に主が駆け寄ってくる。
すくっと後ろ足で立ち上がってすんすんとこちらの様子を窺う姿に内心身悶えしていることは秘密だ。
ぴんと立てた耳と耳の間をいたわるように指先で撫でて、そっと盆を置けば興味津々と言わんばかりに小皿に小さな鼻を寄せている。

「ああ、栗を練りこんでいるそうだ」

きらりと主のつぶらな瞳が瞬いたのは間違いない、間違いないが・・・なぜ俺は今携帯端末を持っていないんだ!!
ああぁーかわいい。あーーー小さな手で持ってるのもかわいい、すごい速さでかじってるのもかわいいし、途中で何故か動作をやめてしまうのも可愛ければ、また思い出したかのようにもきゅもきゅし出すのもかわいいし、不意に手からぽろりとこぼすのもかわいい。つまり全部がかわいいということだな!かわいいが飽和している。

「うまいか?そうかそうか。後で歌仙にも直接言ってくれ、すごく喜ぶぞ」

うんうんと頷く動きにあわせて、細い髭とふんわりした尻尾が揺れている。
また思い出したように手から取りこぼした欠片を食べる姿をお茶を飲みながらじっと見つめる。全く飽きないな。





ところで、目が覚めたらリスになっていた挙句に、白くて顔面がカンストしている血みどrのイケメンににっこり笑顔で捕まった話する?




◆アトガキ



2021.1.15
たまに動物系の動画見て癒されてますが、ただ動物の動きを見ているより飼い主さんや飼育委員さんの、合いの手?が入っていると、よりかわいく見えてしまうの不思議です。
続きも書きたいな。





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