“Triangle Chocolate”



「アリスったら酷いぜ。いきなり殴るなんて」
そう言うわりにはそこまで痛そうではないエースをアリスは睨み付けた。
何せ、件の紅い悪魔は相変わらず爽やかに笑っているのだ。こっちは固めた拳が結構痛かったというのに。解せぬ。
「笑うな元凶、少しは悪びれなさい!!」
「えー、でもお陰でユリウスとの仲はより深まっただろう?怪我の功名ってやつだよな。俺寧ろ感謝されてもいいくらいな気がするけど」
「黙れ自称間男滅びろ!!ありがとうなんて言葉あんたには一万年早いわ!!」
ガミガミと怒鳴っていると、突然後ろから抱きすくめられ、思わず鑪を踏んだ。何とか体勢を立て直し、首だけ後ろを向く。
「ユリウス!?どうしたの急に………」
ユリウスの顔が近い。整った顔立ちや、深いラピスラズリの瞳が間近にある。悔しいことに、自分より艶やかで美しい髪の毛が視界の端に映り、何だかいたたまれなくなったアリスは俯いた。
ああ全く、なんてこの人は綺麗なんだろう。
「珈琲を淹れてくれるのではなかったのか?」
「あ、ええ。そうだったわ、ごめんなさい。今から淹れるから」
我に返ったアリスは、あたふたとユリウスの腕から抜け出した。拘束は存外緩く、あまりにあっさり離れた温もりに残念な気持ちになる。
キッチンへ向かったアリスを、騎士はにやにやと笑って見ていた。
「………何よ」
「いやあ?二人ともラブラブだなあって、さ」
寂しいなあ、とかほざく騎士にアリスが再び口を開ける。だが、その前にユリウスが一喝した。
「いい加減黙れエース!お前には珈琲はやらんからな」
「………ははっ、熱いなあ二人は」
「何を………」
「だって、ユリウスはアリスの淹れた珈琲を自分以外に飲まれたくないんだろ?さっきのだって、アリスが俺ばっかりに構ってたから、自分が蔑ろにされたって思ったんじゃないのか?」
「「………!?」」
ユリウスは息を飲み、そしてアリスは割賦を取り落とした。
「大丈夫かアリス?」
「わ、割れてない割れてない」
自分ので良かったと思いながら、ちらりとユリウスを見遣る。すると、ちょうどこちらを見ていたユリウスとばっちり目が合ってしまった。その瞬間に真っ赤になったユリウスに、アリスもつられて赤くなる。
赤面する恋人達を前に、紅い悪魔は再び高らかに笑った。
「はははっ!!二人共仲いいぜ。この分だと本当に子供が出来るのも近いかもな!」
「っ、エース!何言って……」
「だって、アリスは子供が欲しいんだろ?あ、それか俺と子作りしたい?なら遠慮なく……」
次の瞬間、狭い作業場に銃声が響いた。
「っと、ユリウス危ないぜ。狭い場所で発砲しちゃ駄目じゃないか」
「問題ない、その前に私はお前さえ始末出来ればいいからな」
「ははっ、ユリウス目がマジだぜ!」
「去ね」
立て続けに響く銃声。しかしエースは全て避けたらしく、変わらぬ爽やかさで手を振った。
「じゃあな二人共!!子供が出来たら報告してくれよ?」
そして、この面倒な悪魔は笑い声と共に去っていった。穴だらけになった扉を前に立ち尽くすユリウスに、アリスはそっと近寄る。
「………ユリウス?」
「………アリス、お前はその……」
何か言いかけてから口ごもり、そのまま黙ってしまったユリウスに、アリスは微笑んだ。
「私、ユリウスとの子供なら欲しいわ」
「…………!」
そう言って、アリスはユリウスに後ろから抱きついた。
「……疑ったのよ。帰ったらベビーグッズが山になってるし、貴方は何だか様子が変だし。もしかしたら隠し子かなって」
「っ!?あ、あるわけないだろう!私が、その、隠し子など……」
そのまま言葉を詰まらせたユリウスは、やがてため息をついて体の向きを変えた。
「ユリウス………?」
優しい抱擁に、アリスはそっと彼を見上げる。
「………子供を作るつもりなどない」
「…………っ」
「お前以外とは、な」
「……………」
一瞬落胆してから、続く言葉に口を開ける。ユリウスの耳が赤いことに気づき、アリスはぽかんとして、次いでぐわっと赤くなった。
「ユリウス………」
「………アリス」
目元を赤くして伸ばされたユリウスの手に、アリスがそっと指を絡める。そして、二人の唇が重なろうとして。
「ごめんよユリウス!!忘れ物しちゃったぜ!!」
ばーんと、扉を壊された。
「「…………………」」
「あれっ、もしかしていい所だった?ごめんごめん、俺は邪魔せず見てるから続きを……」
「「滅びろ!!」」
ユリウスとアリスの拳がヒットし、悪魔は今度こそ階段を転げ落ちていった。
「………アリス、私は暫く時計塔には誰も立ち入らせないよう制限しようと思うのだが」
「………いい案だと思うわユリウス、私も暫く外出しないわ」
職権濫用?否、正当防衛だ。
二人は顔を見合わせて、同時にため息をついて。
それから、こんな生活も悪くない、と思った。










◆(」°□°)」< のナトリウム侍さんよりいただきました!


なな、なんと捧げた「Marshmallow candy」の続きを書いてくださいました・・・!!
お礼だなんてそんな、むしろ侍様生誕を祝いたくて捧げた(のにクオリティが・・くおりてぃがっ!・・・精進します)ものにお礼だなんてー!
頂きます!!!(しっか

いや、もう何ていうか赤い悪魔の邪魔さ加減が半端無いですね。
でもそんな、かませ犬的役割がいるからこそユリウスが嫉妬してデレてくれるという。
・・・よくやった、エース。
とか褒めてると、かませ犬どころか狼になりかねないっていうか、狼ポジション狙ってますよねこのエース。
させぬ。
時計塔組は許すが、エーアリ(って誰も言わないけど、なんて言えばいいんですかねこの二人。使う予定は特にありませんけど!)は許しません、ユリアリ最高です。

それにしてもこのユリウス・・・。

「お前以外とは、な」

一度、落としておいてこのセリフですよ!
高度!このスキルだいぶ高度です!!
侍様のとこのユリウス、実はすごいやり手なんじゃないかとそわそわしています。
もうこの二人さっさと結婚してください。

そういえばどうやらFDでは事実婚?設定で始まるって風の噂で聞いたんですが(ブラッドとは夫婦らしいですね、重いケンカップルストーリーも好きですよ)。
余所様のところで見た限りではどうやら外出嫌いでは無くなるとか?子どもになるとか?色々な予想が。
何にせよ、F(ファン)D(ディスク)★
公式サイトにやっとページがオープンしておりましたが、まだ中身も何も分からず仕舞いですね。

ファンブックのユリウスがむっつりだったとか、何ですかそれいつもどおり過ぎて萌えます。
いっそもう、むっつりの後にSUKEBEとかつけてもいいですよ。
まあむっつり言ってる時点でSUKEBE付いてるようなものだと私は認識しているのですが。
侍様のユリウスは、SUKEBE付いてますか!?(どきどき
アリスの発言にもうムラッときてもいいです、許します。
発言の変態度が上がってきたので、ここら辺で止めておきます・・・。

侍様、本当にありがとうございました!!


相互リンクもさせていただいている、ナトリウム侍さんのサイトはコチラです。
(」°□°)」<

2013.02.09

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